書籍・雑誌

「シズコさん」を読みました

シズコさん

感想:
「100万回生きたねこ」の絵本作家の佐野洋子さんの告白本。シズコさんは「お母さん」。

「母が嫌い」という文が心に痛い。淡々と書かれているけれど、母を嫌いたくて嫌っている人なんているんだろうか。母を否定する事は自分もダメージを受けると思う。そのダメージを「痛い」とは決して言わない作者の少女時代に読んでいて心が苦しくなる。

そして痴呆症状が出てきた母との暮らし。惚けて少女になった母と初めて「距離0」で接した作者。

介護施設に入れた事を「母を捨てた」と言う。自分の生活を削ってもお金を出し、一緒のお布団で寝てあげても「捨てた」という罪悪感から逃れられず苦しむ。もっと気楽に生きている人はたくさんいるのに。逆に愛情を当たり前に受け取っている人たちはたくさんいるのに。

胸がいっぱいになって、たくさん泣いた。

シズコさん

著者:佐野 洋子

シズコさん

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「告白」を読みました

告白 (中公文庫)

感想:
圧倒的なエネルギー。「書こうとして」書いた本ではなく「書かずにはいられなかった」本の臭いがプンプン。

実際にあった河内十人斬り。それを題材に主犯熊太郎の生い立ちを言葉を自由自在に使って書いている。大波に押し流されて読める本って出会えると嬉しい。

生い立ちがどうあれ、事情がどうあれ関係のない赤子まで巻き込んだ熊太郎に同情はできないけれど、事実という重しがついた超迫力版のこの本は読めてよかったと思う。

告白 (中公文庫)

著者:町田 康

告白 (中公文庫)

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「サクリファイス」を読みました

サクリファイス

買ったきっかけ:
「タルト・タタンの夢」がまあまあ読みやすかったから(図書館だけど)

感想:
清涼飲料水の様な爽やかさ。主人公の元恋人の恋愛が唐突すぎて強引な気はしたけれど、自転車の風をきる疾走感や、チームプレイが読み応え十分。面白かった。

おすすめポイント:
エース石尾。あっぱれ憎まれ役。

サクリファイス

著者:近藤 史恵

サクリファイス

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「子供達は夜と遊ぶ」を読みました

子どもたちは夜と遊ぶ(上)

買ったきっかけ:
凍りのくじら、スロウハイツの神様、を読んでまだもうちょっと読めそうだったから。

感想:
まず、「月子」という名前に違和感。「浅葱」という名前もギリセーフなんだけど、月子とセットだとどうも同人誌っぽいというか。

兄弟というのを気付かない、という設定には無理が有り過ぎるのでは?

それでも、なんだかやるせない、狂おしい感じは伝わってきた。文は嫌いじゃないので、できれば「あっち」へ行かずに沢山本を書いて欲しいな。

子どもたちは夜と遊ぶ(上)

著者:辻村 深月

子どもたちは夜と遊ぶ(上)

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「スロウハイツの神様」を読みました

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

買ったきっかけ:
「凍りのくじら」を読んで。意外によかったので。

感想:
なんだよ、結局みんな才能あって大成功?成功できない凡人はお呼びでないのか〜!?・・・・なんてちょっと読後落ち込んでしまうかも。

でも、このラストに持って行く為の伏線が沢山あったのが最後まで読むとよく分かる。あぁ、やっぱり、なんて少し楽しい。

おすすめポイント:
「コウちゃん」のカリスマ度がちょっとイメージできにくかった。似たような憧れ対象が実在する人にはどんぴしゃでハマるのかも。

文体は結構すき。

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

著者:辻村 深月

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

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「Cの福音」を読みました

Cの福音 (角川文庫)

買ったきっかけ:
「悪人」が主人公という謳い文句。なんだかハードボイルドっぽい題名に作者名。

感想:
アメリカで天涯孤独になった朝倉恭介が「悪」の世界の階段をあがっていく。恭介が発案した麻薬の密輸方法は律儀な日本人の性格を利用し、関税法の盲点をついたもの、だったらしい。この方法は続くシリーズの本の中でもやたら絶賛されるけど、いまいちスゴイ計画なのか分からない。

第一、「鸚鵡」と呼ばれる情報提供者を荷主会社内に作って積荷の情報を流す(この情報抜きには計画は成り立たない)けれど、「鸚鵡」が日本の警察に麻薬所持で捕まるリスクが高すぎるし、第二に、メールのやり取りが残っていていくらサーバを経由したとしても、事が起きた時に本書にある様に「とかげのしっぽ切りの様にするりと」逃げられるとは思えない。

いじいじと文句を言ってみたけど、読み始めるとシリーズを読ませてしまう力のある本だと思う。読んでいると知らぬ間に恭介サイドで考えてしまっていたり。覚せい剤を国内に持ち込む悪いやつなのに!

Cの福音 (角川文庫)

著者:楡 周平

Cの福音 (角川文庫)

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「ストロベリーナイト」を読みました

ストロベリーナイト (光文社文庫)

感想:
「ストロベリー」というと甘い印象。だけど、このストロベリーは全然違う意味。かなり残虐なシーンあり。

女性刑事が主役の警察小説だけど、女性刑事(ヒメ)とその仲間達がキャラ分けされていて、イメージしやすかった。

ストロベリーナイト (光文社文庫)

著者:誉田 哲也

ストロベリーナイト (光文社文庫)

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「そのケータイはXX(エクスクロス)で」を読みました

そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

感想:
疾走感(というか転げ落ち感?)あり。言葉遣いも時々「アウト!」なんだけど、読んでしまう。バイオレンス描写もやりすぎ!なんだけど、読んでしまう。くりぃむ上田もどきのうんちくも「うざ!」くなりそうだけど、読んでしまう。・・ううなんだこの本。

でも「最後まで読んでおかないと気持ち悪い」から読了した、という印象。

そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

著者:上甲 宣之

そのケータイはXX(エクスクロス)で (宝島社文庫)

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「悪人」を読みました

悪人

感想:
殺人という犯罪を犯した人にも事情がある・・・感情もある・・・それはそうなんだけど。事情や感情が個々だからこそどこかで線引きが必要で、それは「可逆性」なのかな?心の傷は消すのが難しいし、ましてや「死」は戻らない。

文が読みやすく、硬くも柔らかすぎもしない。読んでいて自然に頭の中でイメージが湧いた。「パークライフ」や「パレード」も図書館に予約してみた

悪人

著者:吉田 修一

悪人

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「凍りのくじら」を読みました

凍りのくじら (講談社文庫)

感想:
さわやかだった。文が好み。「ぼくのメジャースプーン」を読んだ時はそんなに好みではなかったのに。

他の作品も図書館で予約した

おすすめポイント:
写真集の母の文。絶対泣いてしまう。

凍りのくじら (講談社文庫)

著者:辻村 深月

凍りのくじら (講談社文庫)

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