「滝山コミューン一九七四 」を読みました

滝山コミューン一九七四 著者：原 武史 販売元：講談社 Amazon.co.jpで詳細を確認する

マンモス団地の小学校を舞台に静かに深く進行した戦後日本の大転換点。たった1人の少年だけが気づいた矛盾と欺瞞の事実が、30年を経て今、明かされる。著者渾身のドキュメンタリー

東京都下の団地の日常の中で、1人の少年が苦悩しつづけた、自由と民主主義のテーマ。受験勉強と「みんな平等」のディレンマの中で、学校の現場で失われていったものとは何か？ そして、戦後社会の虚像が生んだ理想と現実、社会そのものの意味とは何か？
2007年、今の「日本」は、1974年の日常の中から始まった。

東京の大規模団地の小学校で行われた「学級集団作り」。旧ソ連の集団主義の流れを汲む思想を持つ一人の先生が学校全体を異様な集団主義に染めていく。

何事においてもクラス内に「班」を作り、競わせる。それが単純な役分担だけでなく、「点検班」と「ボロ班」があるのが恐ろしい。この「点検班」はルール違反を見張り、報告する役割を持つし、「ボロ班」に至るとその役割さえ与えてもらえない（ネーミング自体恐ろしい）。

人の失敗を見張る点検班？！？！そんな小学校教育おかしい！・・・・と今の時代なら保護者も声をあげるのだろうけど、この当時のこの地域ではその苦悩は原少年一人しか持たなかったらしい。（この点においてはちょっと疑問。著者だけがそんなにエライのか？他の同級生から見た筆者ってどんな少年だったのか、というのを聞いてみたい）

ただ、思想的な洗脳に近い教育が実際にされていたという事実が恐ろしい。外から見ると特異でも、実際渦に巻き込まれると案外疑問を持てないのかもしれない。