「破獄」を読みました
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破獄 著者:吉村 昭 |
何故佐久間清太郎は4度の脱獄を繰り返したのか。どうやって不可能と思われた独房からの脱獄を可能にしたのか。そして、何故5度目の脱獄はなかったのか。実在の脱獄王白鳥由栄をモデルにした小説。(1986/12)
何がすごいって実際に4度脱獄した人が実在したこと。しかも厳重な監視の盲点を見事についていく。そして、それを語るこの小説もすごい。なめらかに、決め細やかに時代背景と共に話が進められていく。よくぞこの作者がこの題材で本を書いてくれた!と感謝。
1986年出版だけど、全く読みにくくない。むしろ”人の感情”は時代が変わってもそう大差がないものなのだな、と思った。
4度脱獄した佐久間がその後収監された刑務所で初めて人間的な扱いを受け、脱獄しなくなる・・・・・「北風と太陽」を地でいった感じだけど、この太陽役鈴江刑務所長が謙虚で穏やかで素晴らしい。
話の先行きを書いてしまったけど、全部分かっていても引き込まれて最後まで読んでしまう本だと思う。
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