「シェエラザード」を読みました
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シェエラザード〈下〉 著者:浅田 次郎 |
内容(「BOOK」データベースより)
昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく―。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。
実際にあった「阿波丸事件」を基にした本。実際にアメリカの潜水艦に撃沈され、1名のみ、コック長が救助されている。この1名のみというのは船を「阿波丸」だと証言させる為だけのものではないかとも言われ、撃沈の賠償問題もアメリカからの政治的圧力の下に日本は賠償権を放棄している。
物語では「弥勒丸」とされたこの船には2兆円分もの黄金が積まれている事になっており、これを引き揚げる為には100億円要る、という。ただ、この物語にはこれ以外お金の騒動は出てこない。敢えてとんでもない巨額な金額を使い、だけど、そんな額よりも大切なことがある事を浅田次郎は書きたかったのかな。
それにしても浅田次郎の本には魅力的な登場人物が多い。この本にも雨後の筍のごとく出てくる。それぞれが大義と良心の葛藤に苦しみ、悩む様子が心を打つ。
個人的には律子の最後の決断はちょっと納得できないけど(江戸時代の武士みたい。。)「阿波丸」の事を全く知らなかった私には勉強になったし、真剣にのめり込んで読めた本だった。
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