「ワイルド・ソウル」を読みました
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ワイルド・ソウル 著者:垣根 涼介 |
内容(「BOOK」データベースより)
一九六一年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。その四十数年後、三人の男が東京にいた。衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
「午前三時のルースター」が疾走感があって好きだったので(逢坂剛のおいっこ?みたいな印象)この本も読んでみた。扱っている問題が戦後の移民政策でしかも、事実日本政府が行っていたというのが、何よりもこの作品に深さをもたらしていると思う。
政府の移民政策に騙され、開墾地におよそ向かないジャングルの奥地に送り捨てられた移民の悲惨な状態が書かれているけど、垣根涼介の文はとても頭の中で想像しやすく、映画を見ているかの様に読みすすめられた。
出てくる登場人物も個性的で面白い。テレビ局の「貴子」ちゃんも復讐を計画するうちの一人ケイに惚れられて予想もつかなかった展開に巻き込まれていく。ここらへんの「引きずり込まれる」感じは男の人より女の人の方が理解しやすいかも。ただ、私なら初めの印象とは違って意外に仕事ができるプロデューサーの木島さんに惚れちゃうかも(笑)。
長いけど、一気に読めるし、復讐も血みどろでなく読後もさわやか。思うに、最後ケイと貴子ちゃんをハッピーエンドにしたかったからかな?人を沢山殺しておいて「2人でラブラブ~」と終わる訳にはいかないし。ただ、さわやかに読みきった後しばらくして「・・・・でも移民政策は事実あったんだよな」ともう一度考えさせられる作品だと思う。
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