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「疾走」を読みました

疾走 上 Book 疾走 上

著者:重松 清
販売元:角川書店
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「被告A」に続き表紙が怖いシリーズ(表紙で選んだ訳じゃないけど)?ほんと凝視すると夢に登場してしまいそう。

重松清は先に「日曜日の夕刊」を既読。こちらは家族を中心とした心温まる短編集です。そのノリのまま本書に突入しました。

どろどろです。14歳の少年シュウジは家族の闇をその小さな背中で全部しょい込むことになります。そのシュウジに運命は過酷な試練を次々に与えていきます。

読んでいて ”あんまりだ、あんまりだ”とつぶやいてしまいます。これでもか、これでもかとシュウジを辛い目に合わせないで、と思い、ほんの少しシュウジが笑うと幸せになります。本当にどっぷり引きずり込まれる作品です。

自分が新米母親という事もあり、母親目線で考えてしまいます。母親になる前なら、「どうしてもっと母親は強くなれなかったのか」と憤りだけを感じたと思います。

でも母親になって思う事は、大きくなってからはともかく、乳幼児の頃って子供が悪いことって本当は1つもない。母親がストレスや苛立ちを感じたとしても、それは生理的に仕方のない原因だったり、母親自身の問題が映し出された結果がほとんどだと思います。それが育児ストレスなんじゃないかなぁ、と思う。本当は誰も責められない のが苦しくて。

実際に育児していると、人様にはとても言えない感情が自分から噴出しそうになる事が度々あります。うっとぉしい!と思うことだってあります。それが私の場合は息子の笑顔や思いがけないギャグ(本人は狙ってないけど)で ふわっ と溶けてくれる。

でも、溶ける前に別のストレスがあったらもしかして爆発してしまうかもしれない。主人公の母親はいくつものストレスの中で本当に大切なものを見失ってしまった気がします。子供産む前ならこんな感情持たなかっただろうなぁ。

読後感は「ずっしり」です。でも読んで良かったと思う。映画化されたらしいけど、やっぱり本の方が良さそうな気がするなぁ。

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